第13話:未来を想像するのが怖くなくなったこと
前回のおさらい
前回(第12話)では、
「うつで無理して笑っていた私が、素直な笑顔を取り戻すまで」
というテーマで、
少しずつ心がほぐれていった日々について綴りました。
無理に笑わなくてもいい、
素直な自分でいてもいい、
そんなふうに心の奥底から思えるようになったことが、
私にとって大きな一歩でした。
今回は、さらにその先の変化、
「未来を想像するのが怖くなくなったこと」
について、丁寧に振り返っていきます。
「未来を考えるだけで苦しくなる」という感覚
うつの真っ只中にいた頃、
未来を想像することは、私にとって苦しみでしかありませんでした。
“この先、私はどうなってしまうんだろう”
“生きている意味はあるんだろうか”
“10年後の自分なんて、とても想像できない”
そんな思いがぐるぐると頭を支配していて、
未来を考えるたびに、
息が苦しくなって、
胸の奥がぎゅっと締め付けられるような感覚になっていました。
未来は、希望ではなく、
ただの「怖さ」や「不安」を詰め込んだ箱のようなものでした。
小さな未来を描く練習
そんな中でも、
ほんの少しずつ、私は練習を始めました。
大きな未来を描こうとするのではなく、
もっともっと、目の前の小さな未来だけを思い描く。
たとえば——
- 明日の朝、温かいコーヒーを飲むこと
- 来週、好きな漫画を一冊読むこと
- 今月中に、部屋のカーテンを洗濯すること
そんな、小さくて、誰にも見えない未来を、
心の中でそっと想像する。
それが、私にとっての「未来へのリハビリ」でした。
「未来は味方かもしれない」と思えた日
そうして小さな未来を積み重ねていくうちに、
少しずつ、自分の感覚が変わっていくのを感じました。
未来を考えることは、
怖いことでも、苦しいことでもなくなっていったのです。
“未来って、もしかしたら、優しいものかもしれない”
“まだ知らないだけで、あたたかい何かが待っているかもしれない”
そんなふうに、
未来に対して、少しずつ希望の色を見いだせるようになりました。
もちろん、今でも不安になることはあります。
でも、未来を「全部怖いもの」だと決めつけていた頃とは違います。
未来には、まだ知らない優しさや、
思いがけない嬉しさが、
ちゃんと待っている——
そう、今の私は信じられるようになったのです。
おわりに
未来を想像することが、もう怖くなくなった今。
私は、「未来は味方だ」とまでは言い切れないけれど、
少なくとも「未来は敵じゃない」と思えるようになりました。
今を一生懸命に生きること。
今日できる小さなことを大切にすること。
それが、未来を少しずつ、優しいものに変えていく——
そんなふうに感じています。
もし今、未来が怖くてたまらない人がいたら、
どうか、今日だけを、明日だけを、
そっと思い描いてみてください。
あなたの未来は、まだ決まっていません。
そして、
きっと、あなたが思っているよりも優しいものです。
次回予告
次回、第14話では、
「生きていてよかったと思えた瞬間」
についてお届けします。
また一緒に、小さな希望を見つけにいきましょう。
前話はこちら
👉 第12話:うつで無理して笑っていた私が、素直な笑顔を取り戻すまで