第20話:未来の自分に期待できた日
~ほんの少し、前を向けた朝~
「今日も起きるのがしんどいな」
目覚めた瞬間、そんな言葉が頭に浮かんだ。
でもその日は、いつもより少しだけ空気が軽く感じた。
深く息を吸ってみると、心の奥まで酸素が届く感覚があった。
たったそれだけのことで、「あれ、今日は少しマシかも」と思えた。
それがすごく嬉しかった。
うつ病になってから、「未来」という言葉はずっと苦手だった。
前を向くとか、明日が来るとか、
そんな当たり前のことが、苦痛に感じる毎日だった。
「このままの自分が続くのなら、明日なんて来ない方がいい」
そんなことを何度も思った。
布団から出られない朝、誰とも話せない日、
気持ちが沈んだまま夜になり、眠れないまま朝を迎える日々。
“今日を乗り越えただけで精一杯”。
それなのに、未来を考えるなんて、無理な話だった。
でもある朝、ふとこんなことを思った。
「1ヶ月後の自分、今より少しでも元気だったらいいな」って。
それは初めて、未来の自分に“期待”をした瞬間だった。
遠くまで見ようとしなくてもいい。
1年後とか5年後なんてわからない。
でも、「明日」や「来週」くらいなら想像できるかもしれない――そう思った。
それだけでも、自分の中の何かが確かに変わり始めている証拠だった。
最近は、体の調子を整えるために栄養も意識するようになった。
気分が落ち込む日が続いたとき、
「もしかして体の中から整えることも大事なのかも」と思って、
軽い気持ちで始めたのが“セロトニン系サプリ”だった。
最初は「どうせ気休めでしょ」と疑っていたけど、
数日飲み続けると、なんとなく朝の気分が重すぎなくなっていた。
もちろん薬じゃないから劇的ではない。
でも「ちょっとラクかも」と思える朝があるだけで、心の負担はぜんぜん違った。
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無理にすすめるわけじゃないけど、
「頼れるものが少しある」と思えるだけで、精神的にラクになることもある。
“期待”って、派手なことじゃなくていい。
「明日は今日より1ミリだけラクであってほしい」
そんなささやかな願いでも、
それが“未来の自分を信じる”ってことなのかもしれない。
いつか、少し先の自分がこう言ってくれるように。
「よくがんばったね。ちゃんとここまで歩いてきたんだね」って。
次回予告:第21話「眠れなかった夜に考えていたこと」
静かすぎる夜に、誰にも言えなかったことが頭をめぐった。
眠れない時間はつらいけれど、
そこから気づけたことが、きっとあった。
次回は、そんな夜の深い話をお届けします。
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